" 取材で海外によく出る。カメラマンと同行することも多い。彼らは写真を撮る前、了解をとることが基本だ。肖像権の問題があるからだ。しかしいまの若者は、そんな断りもなく、カシャっと撮ってしまう。
 列車やバスなどの車内写真で、出版社や新聞社と相談することもよくある。ある出版社からはこういわれた。
「映り込んでしまう乗客全員から承諾をとってください」
 しかし現実にはなかなか難しい。かなりの人数になってしまうからだ。その写真を掲載するかどうかもわからない。そのつど、全員に許可をとっていたら、とんでもない労力がかかる。写真もどこか記念撮影風になってしまう。
 ある新聞社は、8人を境界にしていた。それ以下の人数なら承諾をとる。それ以上なら、多くの人という解釈をあてはめた。なぜ、8人なのかはわからなかったが。
 海外で料理を撮るときも気を遣う。一度、パリでレストランの取材をしたことがあった。そのとき、店の了解のほかに、皿をつくった人からも許可をとってほしいといわれた。皿にも著作権があるからだという。"

タイ、アジア、沖縄と旅を続ける旅行作家-下川裕治のブログ:写真を撮りやすくなった時代の後味:たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治