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【北塞商業街】
外国人宿舎の正門を出て左に折れ、そのまままっすぐ歩いて行くと北塞という場所に行き着く。北塞は平壌市でも一、二を競う富裕区で、高級住宅街があり、商業、文化の中心地であるとされている。
立ち並ぶ20階建てという高層マンションはどれも簡素な造りで、遠目に見ると廃墟のように見えなくもないが、ここは確かに北朝鮮の富裕区なのである。
隙間なく建てられたそれぞれの棟にはスポーツジムがあり、付近には小さな公園があり、書店や映画館なども配置されている。昏く全層にわたってコンクリートの打ちっ放しのようなこれらの建物を私たちの価値判断によって、単純に高尚落魄を評してはならない。そのトーンは北朝鮮という国家全体に通じるものだからである。

鶏腿肉、泡菜炒飯(キムチチャーハン)などはどこの店でも美味い。食に関してはそれぞれの店のメニューは大同小異だ。私たちはそれぞれ自分の好みで馴染みの店をつくった。
私がとくによく通ったのは、黎明餐館、明興餐館、民族餐館などで、いずれも北朝鮮ウォンで支払いができた(店によっては北朝鮮ウォンによる釣り銭などの小銭がないところもある。そうした場合、店では借用証のようなものを発行したり、現物で立て替えたりする)。

この北塞商業街には大規模なデパートこそないものの、生活必需品はおろか贅沢品もたいがいのものは手に入る。北朝鮮のトレンドの最前線をいくという売り場には、同じ仕立てのスーツを着用した店員が、数多くのブランド品を提供する。シャネル、ディオール、プラダ、CK、資生堂、SK-II、ランコムといったブランド品が並ぶ一画は、外貨で決済しなければならず。価格はけして安くはないが、アイテムやスキンケア用品、香水とあらゆるものが入手可能だ(※ この北塞商業街には家電や時計といった多くの日本製品も陳列してあるそうです。ただし決済は米ドルおよびユーロになります。ただ今月2日のデイリーNKによると、金正日の遺訓として「外貨使用禁止令―ドルと人民元をはじめとする一切の外貨を市場で流通した場合、麻薬よりも厳重に処罰する」旨の指示が出されたという話も伝わっています)。

もし平壌市がいつの日か、世界の目にとどまる日が来るとしたら、市の中心部、凱旋門の近くにある北塞商業街はきっとおどろきの目をもって迎えられることに違いない。そうぼんやりと感じた私は、ちょうど二十歳の誕生日をここ、平壌で迎えた。

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HEAVEN 『異国風情』 中国女大学生北朝鮮留学実録 - 3